赤とんぼの舞う夏の夕暮れ
その日私は、上司にこっぴどく叱られ
重苦しい空気をまとったまま家路をとぼとぼと歩いてい
私はユカ。普通の会社で働く普通のOL
今の会社には3年前に入社し23歳
通い慣れた帰り道。
いつもはただの風景に過ぎないグラウンドになにげなく目を向けると
「ピッピ―ッ!」
ホイッスルとともに走りな回る子どもたちが、
「ラグビー?」
ルールはよくわからないけど
なんとなく懐かしくなり しばらく眺めていた。
私は高校時代を思い出していた。
それは、高校に入って初めての夏休みが終わりに近づいたろだった。
その日の部活が終わり、残りの宿題を仕上げるために急いで自転車を走らせていた。
校門から坂を下ったグラウンドではラグビー部が秋の新人戦に向けて練習していた。
家に着いた私は夏休みの課題をするためにノートを開いた。
しかし、残りページが少なくなっていたので近くのコンビニまでノートを買いに行った。
ノートを手に取り急いでレジに行くと先に頬に絆創膏を貼った制服男子が先に並んでいた。
隣に住んでる彼の名前はサトシである。
サトシとは同じ幼稚園に通い 小学校、中学校そして高校まで同じ学校にっ通っていた
いわゆる幼馴染だ。小さい頃はひ弱で子分のようなSだったが、中学の頃からラグビーをはじめて高校の今もラグビー部である。
今は教室が離れているのであまり話すことはないのだが、この状況では声をかけないのは不自然と思い声をかけた。
「うっす。」
買い物を済まして二人で自転車置き場に向った。彼は片手に菓子パンとコーヒー牛乳を持っていた。彼曰く夕飯まで我慢できないらしい。そこで 久しぶりに話をした。
もう少し頑張れば新人戦で背番号をもらえる事、
夏休みの課題には全く手を付けていない事、
頬の絆創膏は先輩マネジャーに貼ってもらった事、
そんな他愛のないことをキラキラした瞳で話してくれた。大学で上京してからはサトシとは会うことはなかった。
そんなことを思い出しながらグラウンドの子どもたちを見ていたら
懐かしさとともに目の前のことに一生懸命になっていたサトシのキラキラした瞳を思い出した。
なぜならその時に鳴り響いたホイッスルが
今日のノーサイドと明日へのキックオフを告げているように聞こえたからだ。