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僕の好きな歌を添えて

【Novelbright】walking with you~はじまりのグリーンシグナル

今回はNovelbrightのwalking with youと言う曲をモチーフにしました。この曲の疾走感と、気持ちをぶつけ合う叫びにも似たボーカル、僕の中には「ライバル」「友情」の言葉が浮かびました。(本家PVに影響されてる?)

勇気を貰う曲です。

youtu.be

~~~

悟は胸ぐらを掴んでいた。

「強引に割り込みやがって!」

左京も言い返す。

「うるせー!お前が!おせーからダロ!」

コーナーのサンドトラップで言い合う二人がいた。

 

彼は、小嶋悟、F1を目指してカートを始めた。

相手の鈴木左京とは、ビギナークラスからのライバルだ。

悟は今、カートの最高峰クラス「OKクラス」で戦っている。ライバルだった左京は、あるレース中の怪我が原因ですでにドライバーとしては引退している。左京はライバルだった悟に惚れ込んでいた。だから夢を託した…。今では、同じチームでメカニックとして共に戦っている。

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今シーズンの全日本選手権で悟は最終戦を残して1位と4ポイント差の2位だ。このシリーズでチャンピオンになれば カテゴリーが上がりF4の舞台に立てる。それは   、ドライバーとして大きく飛躍するチャンスを意味する。今シーズン好調を維持していた悟だが、チャンピオンを目前にして明らかに様子がおかしかった。これまでのレースのようなパフォーマンスがでていない。それは、練習走行でも明らかだった。


ガレージでカートを目の前にして、左京は自分の考えうる全ての経験を持ってセッティングを始めた。ガレージの奥で悟は、誰も寄せ付けないほど集中していた。

もうすぐ予選が始まる。

そんな中、空は暗くなり雨が降り始めた。

「朝の天気や予報では、何も無かったのに…」

でも、降ったものは仕方ない。左京はレインタイヤを装着して、セッティングも雨用のセッティングにやり直した。

 

悟は雨が嫌いだった。

それは左京も同じだ…。あの日の事が、思い出された。混戦の中、突然左京のカートは制御を失った。スピンしたカートの煽りを受けて弾き飛ばされたのだ。その後は覚えていない。病院で目を覚ました時には、視界は半分になっていた。そして、そのままハンドルを置くことになった。

 

 

路面に水が浮いてきた。

急な雨で、どのチームもセッティングに苦労している。しかし悟のカートは、左京のセッティングのおかげで、3番手グリッドからのスタートになった。

「悪くない。」

左京は呟いた。

 

 

午後のスタートまでしばらくの時間、左京は悟の話を聞きながら、最終調整に入った。ガレージには、ラジオの天気予報と音楽が交互に流れていた。雨が止む気配は無かった。そんな空を見つめながら、いつも強気な悟は静かだった。

 

このレースに勝つ事は、悟のこれからにとっての大きな一歩になる。だから何としてもチャンピオンを取らせたい。いや、左京自身もドライバーとしてできなかったリベンジとして、何としてもチャンピオンを取りたかった。


チャンピオンの獲得にはこのレースでの一位は必須条件だ。ウェットのセッティングでは、勝てる確率は低くなる。空とのにらみ合いが続く。時間は刻一刻と進んでいく。そして決断の時になった。


ピットで作業していた左京は、あることに気づいた。意を決して悟に話す。

「ドライでいこう!」

しばらく沈黙が続いた…。左京に何か確信があると察した悟は、その考えに乗ることにした。

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作戦が告げられる。

「スタート前には雨は止む。路面が乾くまでは、攻めずに我慢でトップと10秒以内で周回してくれ。路面の乾きはじめたら、乾いた箇所から攻めていく。そうすれば、悟のここ何戦かの好調子と相手の雨セッティングの不利で勝てる。」

というものだった。悟は、雨があがるのが前提の作戦で大きな賭けだったが、左京に掛けてみることにした。


スタート直前に雨粒は小さくなり、そしてシグナルが青になる頃には雨は止んでいた。

スリックタイヤを履いてるのは悟だけだった。路面が濡れている2周目、3周目と序盤は我慢が続く。悟も焦る気持ちを抑えながらハンドルを握った。

 

レースも中盤にさしかかろうとする頃、かなり青空が見えるようになった。路面が乾き始めたのをサインに悟のラップはトップをたたきだした。最大15秒近くあった1位との差は無くなり、最終ラップに入るとメインストレートで並びかけ1コーナー入口では遂に1位に躍り出た。そのままの勢いでチェッカーフラッグを受ける。

ピットでは左京が重圧から開放され、泣きながら空に手を合わせる。

 


表彰台でのシャンパンファイトの後、悟は左京の手をガッチリ握り喜びを分かちあった。この優勝で文句なくシリーズチャンピオンになった。


トラックにカートを載せて帰路につく。

そのトラックの中で悟は、なぜ雨が上がるのが分かったのか聞いてみた。

左京が子供の頃、祖父と釣りをしていた時、急に聴いていたラジオがノイズで聞こえなくなった。「雨が降るぞ。」祖父がそう言ったあと、すぐに雨が降ってきた。雨宿りしていると祖父が「そろそろ、止むな…。」と言うと雨があがった。

なぜ分かったのかと祖父に聞いてみると、詳しくは分からないが、ラジオの雑音が酷くなるといつもずぶ濡れになって仕事していたそうだ。小屋で雨宿りしていると雨が上がる頃には決まって雑音は無くなっていたそうだ。

ピットのラジオが綺麗に聞こえるようになったのに気づいた時、その話を思い出した。

左京は、悟が勝ちさえ信じてレースしてくれれば、結果はついてくると思っていた。だからこそ、悟が勝ちを信じれるように「一か八か」だったが、あの作戦を提案したと話た。


悟はにやっと笑った。 

「一か八か」―それは、左京がレーサーだった時、リスクを恐れずに勝負を仕掛けるという、スタイルそのものだったからだ。

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「次も一緒に行こうな…」

悟は小さく呟く…

「まかせろ、相棒!」

交差点の信号が青に変わる…

 

【渡辺美里】JUMP~スイッチを切った訳

体を大きくしたのが、「母の作ったご飯」なら、ココロを成長させたのは、「渡辺美里の歌」。今回は彼女の【JUMP】という曲です。

https://music.youtube.com/watch?v=yJFOw4HusI0&si=FtCmaPB9_jfOh3HR

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~時計は 深夜1時を少し回ったころ、僕はラジオのスイッチを入れた。

何度も聞いたオープニングが流れ、ラジオのDJ以外は静寂だけが部屋を支配した。

僕はベッドに横たわりながら、聞いているのかいないのか、ただ目を伏せていた。

しかし、眠りにつくことはなかった。

去年の夏までは二人で聞いていたのに…。

たわいない話をしながら、かけがえない時間が、確かにそこにはあった。

彼女が出ていくまでは…。

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彼女と出会ったのは、一昨年で大学にも慣れてきた5月だ。

桜の花も散り夏のドアをノックしていた頃だった。

4限目の授業終わり、帰り支度をしていると、何やら視線を感じた。

振り向くとそこには、

「いいなぁ…そのステッカー貰ったんだ…」

僕のパソコンに貼られたステッカーを覗き込む彼女がいた。

そこからは木の葉が川を流れるかのように時間が過ぎていった。

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本当は、受験生気分が抜けない僕は今更深夜放送を聞き続けているのが少し恥ずかしく思っていた。しかし、同じ仲間がいた事に安心感を覚えた。きっと彼女も同じだったのだろう。

週に一度は学食に集まり昨日のラジオのことを話した。

最初は週に一度…

それが二人の距離だった。

生まれてから今まで学校の日直以外では、女子との接点が無かった僕にとって、初めての恋心が生まれた。

彼女も同じだったらしく、その距離は次第に埋められていった。

ラジオ以外の話も、二人で遊びにも出かけた。

スマホの中は二人で撮った思い出がストレージを占領していった。

僕にはリスナー仲間以上の存在だった。

彼女にとって僕はどんな存在だったのだろう。

そんなこと聞けなかった。

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就職活動やインターンが始まる頃になると、大学には顔を出せない日々が続くようになった。

二人で過ごしていた小さな世界より、外の世界はあまりにも眩しかった。

僕にとっても彼女にとっても…。

光に触れ少しずつ心に距離ができていた。

当然、ラジオなど聞く余裕すらない。

変わっていく環境に、ただただ翻弄される日々が続いた。

 

ある日、彼女が久しぶりに一緒に聞こうと連絡してきた。

いつぶりだろうか、二人で並んでラジオに耳を傾ける。

たぶん彼女も、

たぶん僕も分かっていたのだろう。

今日が二人にとって最後になることを…

 

沈黙のままだったが、不思議と気まずさはなかった。

聞こえるのはDJの声と、秒針の跳ねる音だけだった。

最後のコーナーが終わりCMが流れ始めると、彼女が口を開く、

「ごめん…。」

それ以外はなにもなかった。

僕は天井を見たまま、

「うん…。」

と小さく頷いた。

それが今の  僕にできる優しさだった。

彼女はコートを手に取り、振り返ることなくドアを開けた。

二人のエンディングの後、ラジオは何も無かったかのように喋り続けていた。

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~彼女が出ていってから何度目かの夏、久しぶりにラジオのスイッチを入れてみた。

時計は深夜1時を少し回るころ、懐かしいCMが流れはじめた。

あの時と変わらない時間が流れていた。

変わったのは聞いてる僕らだった。

暫く耳を傾ける。

爽やかな風が吹いた。

そしてそっとスイッチを切った。

 

【岡村靖幸】カルアミルク~変わっていくこと、変われないこと

今回のお話は、「思春期のカリスマ」岡村靖幸さんの名曲【カルアミルク】からのインスピレーションです。彼の曲で表現されるのはありのままの―自分―がいかにカッコイイのかです。当時、彼を聞いて自分を肯定する勇気を貰いました。

URL⤵

https://music.youtube.com/watch?v=uqRUlT2gKxA&si=hB_HcrLAAbpcZ1p1

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あの頃と何も変わらない…

仲間たちは変わらないことをまるでヴィンテージのレスポールのように価値があるように言う。

周りの仲間は変わっていってるのに、自分だけが取り残されたようで…心の中では焦っていた。

 

思い描いた未来になれるのか?夢か現実かの選択で、怖くて現実からは距離を取ってしまった。

 

ある日、ポストに一通の手紙が…

読んでみると、軽音サークル時代の仲間が結婚するらしい。当時のメンバーがみんな来るらしく、既に返事の部分は「参加」に丸がついていた。

しかし、正直みんなと会うのが怖い…

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――当日、友人一同の席についた。

交わした会話といえば、会社の愚痴と家族の写真である。どんなにネガティブな話でさえ僕には別世界の言葉のように思えた。

酒はあまり強いほうではなかったが、楽しい時間だった。僕は、胸のモヤモヤを誤魔化すように、いつもよりペースが早くなっていたのに気づいた。

 

心揺さぶる披露宴も終わり、ネクタイを緩め二次会に向かった。

パーティー会場には仕事終わりで遅れて参加してきた美結も来ていた。

彼女とは高校で3年間同じ進学クラスで、いわばライバルだった。志望校が同じだったので、同じ大学に合格した。

しかし、バンドに興味があったとは知らなかった。偶然、軽音サークルで再会したのだ。昔から知っていた事もあり、サークルでは最も気の許せる仲間だった。

久しぶりの再会で彼女の現在地を聞いてみた。卒業後の美結は堅実に外資の会社に就職して、今や若手のチームリーダーだそうだ。

――僕はと言えばまだ夢を追っていた。そう思うしかないのかもしれない。

あの頃は、本当に先のことなど考えず確証のない自信だけを振りかざして過ごしていた。

やっと、気づいた時には現実を見るのが怖くなって夢へと逃げこんだ。

「夢って、何なんだろう…」

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二次会も終わり帰宅組と三次会組に散らばり、僕は帰宅組に居た。電車に乗り一人になると、昔の楽しかった思い出が景色とともに流れて行った。

最寄り駅で降りた時、見慣れた横顔を見た。どうやら、別車両に美結も乗っていたらしい。

「よっ!お疲れ……」

飲み足りない訳ではなかったが、時間もまだ早かったこともあり、学生時代によく通ったバーで飲みなおす事にした。懐かしい話も、近況も聞きたい。

そして、なにより今の自分が美結にはどう見えているか知りたかった。夢を追いギターを置けない自分がどう見えてるのかを…。

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重い木製のドアを開け、薄暗いカウンター席に並んで座る。美結は赤ワインを頼む。学生時代には苦いのが苦手と言っていたのに。時間というのは味覚さえ変えてしまうのだろう。

僕はといえばあの頃と何も変わらない、甘くて、少し子供っぽいカルアミルクを頼んだ……。